高齢化社会における看護師の役割として、在宅医療や介護との連携はとても重要ですよね。上尾中央医科グループ(AMG)の「勝田病院」は、同じ建物内の老健や、近隣の関連施設の訪問看護ステーションとの連携体制を強みに、高齢化が進む地域を支えているとのこと。働く魅力を充実させて、地域の看護師が長く定着する環境を実現しているらしいので、さっそく見学に行ってチェックしてきます。
- 形 態
- ケアミックス型病院
- 所在地
- 茨城県ひたちなか市/勝田駅
- 病床数
- 85床(一般54床うち地域包括ケア病床8床 療養31床)
玄関
「勝田病院」へのアクセスは、常磐線「勝田駅」から市内循環バスで約20分。敷地内に広い職員用駐車場があるため、スタッフはほぼ全員、市内やお隣の水戸市からマイカー通勤しているそうです。玄関では、入職22年目の看護主任さんが迎えてくれました。「ようこそ。建物内には『老健勝田』を併設していて、1階~3階は当院、4階~5階は老健という構成なんですよ」。
看護部長室
まずは、佐藤看護部長のもとへ。どんな経験ができる職場ですか?「急性期~慢性期の医療、在宅支援・介護まで、幅広い経験ができる職場です。ここ最近は訪問診療・訪問看護などの在宅医療部門の強化を図り、病棟看護師も退院後の生活を見据えた関わりを心がけていて、患者さんやご家族の意向に寄り添った入退院支援・在宅療養支援を実現できるよう努めています」と、佐藤看護部長。佐藤看護部長は老健の看護部長も兼務しているのだとか。
一般病棟のスタッフステーション
一般病棟のスタッフステーションに伺うと、多職種カンファレンスが行われていました。「85床のケアミックス型病院と聞くと、ゆったり働ける環境を想像される方もいますが、高度急性期病院が不足する地域のために救急医療にも取り組んでいるので、一般病棟はスピードが求められます。多い日だと1日8件ほど入院が入るので、職種間で情報共有をしっかり行い、忙しい中でも個別性を重視したケアを提供できるように努めています」と。
病室
病室を覗くと、新人看護師さんが先輩の指導を受けていました。「入職後のOJTは、新卒者にはプリセプターの先輩が1年間付き、中途入職者には業務に慣れるまでサポート役の先輩が付いて、1対1の丁寧な指導を行います。その他の先輩も新人さんのフォローに積極的に入り、部署全体で成長を見守っているので、困ったことがあればどの先輩に質問・相談しても大丈夫ですよ」と、看護主任。
手術室
つづいて、手術室を案内していただきました。「手術は外科と整形外科が中心で、日中は緊急手術にも柔軟に対応しています。高齢の患者さんが多く、退院後すぐに自宅に戻ることが難しい方もいらっしゃいますが、同じ建物内の『老健勝田』に入所して在宅復帰に向けたリハビリに取り組むことも可能です。老健には認知症ケアに精通したスタッフが複数いて、退所後は希望に応じて訪問リハビリもご案内しています」。
透析室
お次は、透析室へ。看護師の活躍の場が多いですね。「そうなんです。85床の家庭的な規模の病院ですが、さまざまな活躍の場があって専門手技も身に付けることが可能です。看護部の教育は、AMGのキャリアラダーシステムを活用しているのですが、実践能力や管理能力を磨くためのクリニカルラダーやマネジメントラダーに加えて、手術看護・透析看護・訪問看護ラダーも導入しているんですよ」。
リハビリテーション室
リハビリテーション室に伺うと、理学療法士のお2人が迎えてくれました。「部署の壁がなく、他職種と近い距離で働ける点も当院の魅力の一つです。患者さんのお身体の状態に合わせて病棟でもリハビリを実施しているのですが、リハビリの進捗やADLについてリハビリスタッフが私たち看護師に共有してくれたり、身体介助や生活リハビリのアドバイスをくれたりと、同じチームの仲間として連携・協働しています」と、看護主任。
療養病棟
療養病棟に行ってみると、看護補助者さんがいらっしゃいました。「療養病棟には要介護度の高い患者さんも多く、看護補助者が手厚く配置されています。看護補助者は無資格・未経験の方も大歓迎で、働きながら介護の知識・技術を身に付けていけるよう、AMGの看護補助ラダーに沿って段階的な成長をサポートしています。研修の機会も充実していて、働きながら介護福祉士の資格を取得することもできるんです」。
老健勝田
4階に上がり、「老健勝田」の入所フロアの様子を見学しました。老健のスタッフと連携することもありますか?「はい。基本的に老健の利用者さんの検査・受診は当院で行っていて、急変時の受け入れなども24時間体制で迅速に対応しています。また、退院後に入所予定の患者さんの情報も細かく共有する機会を設け、継続性のあるケアを提供しているんです」。医療と介護のスムーズな連携が実現していますね。
訪問看護ステーションかつた
病院を出て少し歩くと、関連施設の「訪問看護ステーションかつた」があります。「以前は院内の訪問看護室からサービスに出向いていましたが、地域や社会のニーズに対応するため、2022年10月にこちらを開設しました。病院で働く中で在宅医療に興味を持った方は、異動を希望することもできます」と、看護主任。今後は訪問看護師の人数も増員予定とのこと。
24時間保育室
最後は、敷地内の24時間保育室へ。子育て中のスタッフは多いですか?「ええ、どの部署にもママさん・パパさんが多いです。当院で産休・育休を取得して復帰したスタッフだけでなく、出産や子育てをきっかけに入職したスタッフも複数います。お子さんが小さいうちは日勤常勤・時短勤務・パート勤務の選択も可能なので、自分らしいワークライフバランスを大切にできますよ」。魅力的な職場ですね!今日はありがとうございました。
帰り道
――お疲れさまでした。在宅医療や介護との連携を大切にしている病院、いかがでしたか?
- 入院設備は85床と中小規模ですが、救急から在宅まで切れ目のない医療体制を確立していて、内視鏡室・手術室・透析室・健診部門・地域連携課など、さまざまな機能がぎゅっと詰まった病院でした。同じ建物内には96床の老健があり、密な連携体制を築いていましたし、2022年に近隣に開設した訪問看護ステーションとも連携し、在宅医療体制の更なる充実を目指しているとのこと。
――看護部にはどんなスタッフが活躍していますか?
- 20代から60代まで幅広い年齢・キャリアの看護師がいて、定年前後のプラチナナースもいきいきと活躍しています。保育室などの子育てサポートが充実していることからどの部署にも育児経験者が多く、女性はもちろん、男性スタッフの育休取得実績も増えているそうですよ。
――では、ここはちょっと、というところは?
- 認定看護師などのスペシャリストが在籍していないことでしょうか。ただ、AMGには資格取得支援などのキャリアサポートが充実していますし、看護部教育委員会としても、目指したい方がいればしっかりバックアップしていきたいとのことでした。
――最後に、ここだけの話をひとつお願いします。
- 病院の目の前には、ひたちなか市の名産であるサツマイモ畑が広がっていて、とてものどかな土地でした。車に乗ればすぐに美しい海岸に行ける場所にあり、「老健勝田」のスタッフは、ボランティアとして地元の海岸の清掃活動にも積極的に参加しているのだとか。
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