看護師として「自分らしい働き方」を見つけるには、自分に合った領域を知り、経験とスキルを磨くことが大切です。横浜市の中核病院として地域医療を支える「済生会横浜市東部病院」では、看護師に幅広い活躍の場を用意して、個々のキャリア形成を支える教育プログラムを構築しているそうです。院内には看護教育室や人材開発センターが設置され、専門・認定・診療特定看護師などのスペシャリストが多く活躍しているらしいので、さっそく見学に行って働く魅力を見つけてきます。
- 形 態
- 急性期病院
- 所在地
- 神奈川県横浜市/鶴見駅
- 病床数
- 562床/重症心身障害児(者)施設サルビア44床、救命救急センター病棟24床、ICU10床、NICU6床、GCU8床、SCU6床など
玄関
「済生会横浜市東部病院」へのアクセスは、「鶴見駅」東口から10分ほどバスに乗り、「東部病院」バス停で下車してすぐ。病院周辺には複数のバス停があり、「川崎駅」「尻手駅」「新綱島駅」「新横浜駅」「横浜駅」など、多方面からバスでアクセスできます。玄関で迎えてくれたのは、救命救急センター病棟で働く男性看護師のお2人。今日はよろしくお願いします。
救急入口
救急入口に行ってみると、モービルCCU(心臓病専用救急車)が停まっていました。年間どのくらいの救急車を受け入れていますか?「年間約8000台です(2024年9月)。鶴見区唯一の救命救急センターとして、生命の危機に直結するような重篤な患者さんを中心に受け入れているため、センター内には外傷患者さんの救命に必要な緊急処置を1カ所で完結できる治療室『ハイブリッドER』も設置しています」と、お2人。
ロボット手術センター
お次は、手術支援ロボット「ダヴィンチ」を3台有するロボット手術センターへ。「当院では、横浜市初となるロボット支援手術を2012年に開始以来、実績を右肩上がりで伸ばし続けていて、全国有数の症例数を誇っています。こちらにはダヴィンチプロクター(手術指導医)が複数名在籍し、症例の少ない医療機関に指導や教育も行っていて、ロボット支援手術の普及や発展に寄与する場としても注目されているんです」。
集中治療センター
手術センターと同じフロアには、集中治療センターがありました。「こちらにはICU10床があり、重篤な患者さんや術後の容態観察が必要な患者さんなどの全身管理を担っています。また、脳神経センターにはSCU6床があり、こどもセンターにはNICU6床とGCU8床が設けられていて、各部署の専門領域に特化したスペシャリストも活躍しています」と、お2人。
廊下
つづいて、小児専門看護師の資格を持つ渡邊看護部長にお会いしました。看護部には多くのスペシャリストが活躍しているそうですね。「ええ。当院の看護師たちは学びが大好きで、自身のキャリアを自ら切り拓く自律した人材ばかり。進学支援などのキャリアサポートが整っているため、診療特定看護師7名・領域特定看護師28名・専門看護師10名・認定看護師31名などが在籍し(2024年10月)、専門性を発揮しています」と、看護部長。
図書室
お次は、24時間利用できる図書室を案内していただきました。「各部署のパソコンからも資料や論文を閲覧可能ですが、勉強に集中できる静かな環境を求めて図書室を利用するスタッフも多いです。看護部では、講義(eラーニング)・演習・修了レポート・修了試験で構成された院内認定制度が確立されているため目標を持って学習に励みやすく、私たちも合格してこちらの修了証をいただきました」。
重症心身障害児(者)施設
院内に併設された「重症心身障害児(者)施設 サルビア」に行ってみると、多職種カンファレンスが行われていました。「多職種連携を重視する当院では、このような職種を越えた意見交換の場をとても大切にしています。専門看護師などのスペシャリストたちは、チーム医療の調整役を担うことも多く、他職種への理解を深め、チームで質の高い医療を提供できるよう現場をまとめています」と、お2人。
病室
病室に行ってみると、ナースエイドさんがベッドメイクを行っていました。「近年では、糖尿病や高血圧などの慢性疾患を抱える高齢の入院患者さんが増え、生活援助や身体介護のニーズも高まっているため、各病棟にナースエイドを配置して看護師と共同で援助を行っています。また、脳神経センターや重心施設には介護福祉士も複数名配置し、安心・安全な入院生活が送れるよう支援にあたっています」と、看護師さん。
地域枠看護師
お次は、地域枠看護師さんにお会いしました。地域枠看護師は独自の取り組みだそうですね?「地域の医療機関と連携して、急性期医療から在宅医療まで幅広い看護を提供できる人材の育成を目的とする雇用形態です。院長の提案で2017年から開始されました」と地域枠看護師さん。「今後、地域包括ケアシステムの要となる人材として、地域枠看護師には大きな期待が寄せられています」と案内役の男性看護師さん。そうなんですね!
病児保育室
お次は、病児保育室を案内していただきました。「こちらは敷地内にあり、お子さんが元気だけれども熱がある場合などに利用できる施設です。また、近隣にある職員寮の1Fには当院のスタッフのために保育室を併設しています。結婚・出産後も自分らしい働き方を実現できるように、お子さんが小学校入学前まで時短勤務を選択可能ですし、保育室は24時間対応なので夜勤にも安心して入ることができます」。子育て支援も充実していますね。
休憩室
最後は、休憩室へ。休憩はしっかり取れますか?「はい。緊急入院・緊急手術が多いので勤務中は忙しいですが、休憩時間はこちらでお菓子を食べながらリラックスでき、メリハリをつけられています。当院は看護師の長時間労働を解消するため、各部署で残業削減に取り組み、2024年からは一般病棟を中心に夜勤時間の短縮に取り組んでいます」と、お2人。ワークライフバランスを大事にできそうですね。今日はありがとうございました。
帰り道
――多くのスペシャリストが活躍する横浜市の基幹病院、いかがでしたか?
- 大学病院と同等レベルの医療設備を持つ高度急性期病院として、常に一歩先を見据えた医療の提供を目指し、多職種が一丸となって取り組んでいました。教育を統括する人材開発センターを設置し、個々が主体的にキャリア形成に取り組める環境を整えていて、あらゆる看護領域を究めたスペシャリストの多さに驚きました。
――見学をしていて印象に残ったことはありますか?
- 地域枠看護師という独自の雇用形態があることです。地域医療支援病院として、高齢化が進む時代に求められる地域包括ケアシステムの構築に取り組んでいて、近隣の医療機関とのつながりをとても大事にしている印象を受けました。実際に看護部には、回復期や慢性期の看護を学ぶために地域の病院に半年~1年間研修に出向く方が複数いるそうです。
――では、ここはちょっと、というところは?
- 看護部の皆さんは向上心が高く、学ぶことを積極的に楽しんでいるので、主体的に学んでいく姿勢がないと、周囲と温度差を感じてしまうと思います。看護部長はスタッフの夢や目標を全力で応援しているので、将来はスペシャリストを目指したいという方にはぴったりな職場だと思います。
――最後に、ここだけの話をひとつお願いします。
- 院内認定制度は「TENP(Tobu Expert Nurse training Program)」という名称で、専門看護師や認定看護師が中心となってプログラムを構築しているそうです。講義は基本的にeラーニングで行っているため、自分の好きな時間・場所で繰り返し学習できることも魅力で、外部研修に参加しなくても興味に合った専門性を身に付けることができ、受講者からとても好評なのだとか。
三次救急を担う高度急性期病院でスキルアップを図りたい方
専門・認定・特定看護師などのスペシャリストを目指している方