《 リハビリスタッフ編 》
セラピストとして臨床のやりがいを実感できるようになると、「学会で発表したい」「大学院に進学したい」といった目標ができる方も多いですよね。「東京湾岸リハビリテーション病院」では、院内に研究・教育センターを設置して研究活動も推進していることから、向上心の高いセラピストが全国から集まってくるとのこと。臨床と研究を両立しやすい職場づくりが進んでいるらしいので、さっそく見学に行って確かめてきます!
- 形 態
- 回復期リハビリテーション病院
- 所在地
- 千葉県習志野市/谷津駅
- 病床数
- 160床(回復期リハビリテーション病棟)
玄関
「東京湾岸リハビリテーション病院」へのアクセスは、京成線「谷津駅」から徒歩5分。JR「津田沼駅」からバス通勤もできます。目を引く円柱状の外観は、「波と客船」をイメージしていて、海外の建築家がデザインを手がけたそうです。玄関では、PTさん(写真右)・STさん(写真中央)、OTさん(写真左)が迎えてくれました。「ようこそ!今日はゆっくり見学していってくださいね」。
外来リハビリスペース
玄関を入ってアトリウムを進むと、外来専用のリハビリスペースがありました。「外来では、入院中に作製した装具をご自宅で安全に使用していただくための『装具外来』の開設や、脳卒中の後遺症の痙縮に効果的と言われる『ボツリヌス療法』や『拡散型ショックウェーブ』など、専門病院ならではの取り組みも充実させています。退院後も外来でリハビリを継続される患者様が複数いるので、在宅生活の様子を伺える機会にも恵まれています」。
リハビリセンター
1階にはメインのリハビリセンターがあり、開放的で広々とした空間に多様なリハビリ機器が並んでいます。「こちらは、脳卒中の後遺症などで歩行が困難となった方の早期歩行獲得を支える歩行支援ロボット『ウェルウォークWW-2000』です。他にも、最新技術やロボットを駆使したリハビリプログラムを多く導入しています。こちらのスペースはガラス張りなので、ご家族に訓練の様子を見学していただくことも可能です」と、PTさん。
リハビリセンター
浴槽を模した設備があり、こんなふうにOTさんが入浴訓練を行うそうです。「作業療法科では、トイレ動作や入浴動作を模擬的に訓練できるADLシミュレーションシステムを活用し、日常生活動作訓練を行っています。退院後の在宅生活を想定し、患者様お一人おひとりの状態に合わせたプログラムの提供を心掛けています」と、OTさん。入院患者様の8割以上が在宅復帰を実現しているのだとか。
リハビリセンター
「こんなふうに、患者様にPC操作を習得していただくなどの、就労支援のリハビリプログラムも実施しています」とOTさん。「在宅復帰に留まらず、『職場復帰』や『新たな職場への再就職』も支援していけるよう、多職種の就労支援チームを結成しています。入院中から、患者様の状況に合わせて評価・訓練を実施し、退院後も継続して仕事への復帰を目指す上での課題・対策をチームで検討しているんですよ」。すばらしい取り組みですね。
手のまひ治療センター室
手のまひ治療センター室で、リハビリテーション部 副部長のOTさんからお話を伺いました。「こちらは、脳卒中や頸髄損傷などで手に運動麻痺が残った患者様のために立ち上げた、当院の知識や経験を集約したセンターです。リハビリ専門医とOTが連携し、手の回復を助ける治療に積極的に取り組み、従来のスタンダードな訓練手法から、最新技術を用いた先駆的な訓練まで個別に提案しています」と、副部長。
言語聴覚療法室
言語聴覚療法室へ。「言語聴覚療法室は、リハセンター内と病棟内に複数設置されていて、STと1対1の言語聴覚療法に集中できます。当院ではご家族参加型の訓練を推奨しているため、実際の訓練に同席してもらうこともあり、有効なコミュニケーション方法の提案・指導も実施しています」。言語聴覚科では、失語症をはじめとする高次脳機能障害の状態を的確に把握して治療するため、各種神経心理学的検査や訓練教材も揃えているとのこと。
放射線科
放射線科に行き、摂食嚥下障害に対する評価の様子を見学しました。「入院患者様は脳血管疾患の方や高齢者の方が多いため、嚥下造影検査(VF)・嚥下内視鏡検査(VE)を毎日のように実施しています。検査には医師・ST・看護師・管理栄養士が参加し、画像を確認しながら評価を行います。検査後には全症例カンファレンスを開き、食事の摂り方や形態・訓練方法などの方針を決定しています」と、STさん。
リハビリセンター
リハビリセンターに戻り、リハビリテーション部のミーティングの様子を見学しました。「自由に意見を言い合える部署を目指して、症例検討会やリサーチミーティングを毎月実施しているほか、多職種が密に情報交換する委員会活動にも積極的に参加しています。このような話し合いの場では、経験年数の浅いセラピストの考えにもみんなが耳を傾け、同じチームの仲間として対等に話せる関係性を築いているんですよ」と、皆さん。
リハビリセンター
お次は、作業療法科の科長さんにお会いしました。「当法人はセラピストのキャリア形成に協力的で、外部研修・学会の参加支援制度、学会発表・論文執筆時の英文校正費・投稿料の支援制度、大学院進学支援制度、奨学金代理返還制度などが整っています。また、法人内のジョブローテーションを通じて急性期や生活期のリハビリを経験する機会もあり、知識・技術の幅を広げながら理想のキャリアを築いていくことができるんです」と、OT科長。
リハビリセンター
最後は、リハビリテーション部の皆さんが集まってくれました。とても人数が多いですね!「ええ、PT・OT・ST合わせて約120名が在籍しています(2024年11月)。セラピストの年齢・出身地・経験年数はさまざまで、結婚・出産後も定着するママさん・パパさんも多く、それぞれ育休取得率はほぼ100%です」と、皆さん。私生活も大切にできる職場なんですね。今日はありがとうございました。
帰り道
- ――お疲れさまでした。国内トップレベルのリハビリテーション医療を追求する病院、いかがでしたか。
- 患者様の明るい未来のためにさまざまな臨床研究を進めていて、科学的根拠に基づく従来のリハビリに加えて、最新技術やロボットを駆使した先端的なリハビリにも積極的に取り組んでいます。リハビリテーション部は向上心の高いスタッフばかりで、働きながら大学院に進学して修士号・博士号を取得した後、大学教員にキャリアチェンジした方などもいるそうですよ。
- ――見学をしていて印象に残ったことはありますか?
- 建物は滞在型リゾートをコンセプトにデザイン・設計されたそうで、院内はホテルのように快適な空間が広がっていて、インパクトがありました。患者様にリラックスして過ごしていただけるよう、病棟には美しい絵画や調度品が飾られていて、清掃も行き届いていました。
- ――では、ここはちょっと、というところは?
- すべての病棟が回復期リハビリテーション病棟なので、もの足りなさを感じる方もいるかもしれません。その場合は、法人内の急性期病院などへの異動を希望することもできるそうです。
- ――最後に、ここだけの話をひとつお願いします。
- 福利厚生の職員食堂「カフェテリア」がとても人気で、栄養バランスの取れた美味しいランチを1食300円~で食べられるのだとか。月に一度、季節にちなんだイベントメニューの日があるそうで、楽しみにしているスタッフさんが多いそうですよ。
セラピストとして、臨床にも研究活動にも携わりたい方
ワークライフバランスを大切にしながらキャリアアップを目指したい方