2024年02月20日
転職を成功させるためには、履歴書、職務経歴書をいかに上手く作成するかもポイントになってきます。
履歴書、職務経歴書はスキルや経験を伝えるとともに、書き手の人柄を物語る「顔」の役割を果たす重要な書類です。要点を押さえて簡潔に、かつ十分に意欲や希望、人柄を表現するものでなくてはなりません。
看護師向けの履歴書、職務経歴書を書く上でのポイントについてご紹介していきます。
―― 履歴書の選び方のポイント
―― 【見本つき】看護師の履歴書の書き方の基本
―― 看護師ならではの履歴書作成の注意点
―― 履歴書は「志望動機」が最重要ポイント!
看護師の職務経歴書の書き方
―― 職務経歴書のフォーマット
―― 【見本】職務経歴書の書き方の基本
―― 職務経歴書では自分のポテンシャルを伝える
押さえておきたい!履歴書・職務経歴書の書き方のマナー
―― 手書きの場合は、黒のボールペンで丁寧に書く
―― 間違えた場合は、修正ではなく新しく書き直す
―― できるだけ空欄がないようにする
転職成功のコツは、この3つを明確にしておくこと
―― 転職の目的を明確にし、希望条件に優先順位をつける
―― 十分な情報収集をし、できれば施設見学をする
―― 自分の長所・短所、身に着けたスキルを整理する
パターン別の志望動機・転職理由の書き方(例文)
―― スキルアップをしたい場合の志望動機
―― ブランクがある場合の志望動機
―― 転職回数が多い場合の志望動機
採用担当者が重視するポイントは?
―― 欲しい人材にマッチしているか
―― 即戦力になれるか
―― 長く働いてくれそうか
まとめ:看護師の転職成功のカギは「志望動機」
看護師の履歴書の書き方
履歴書では経歴やスキル、人柄が伝わるように内容を充実させることが重要なのはいうまでもありません。ただ、それは基本的なマナーが守られていることが前提です。
いくら内容が良くても見づらかったり空欄が多かったりマナーが守れていないと採用に繋がりにくくなってしまいます。まずは履歴書の基本的なマナーをしっかりと押さえておきましょう。
履歴書の選び方のポイント
市販の履歴書は、それぞれで記載項目などが異なってきます。市販の履歴書を使用する場合は、自己PRや志望動機欄を大きくとっている転職タイプのものを選びましょう。趣味や特技などの欄があるアルバイト・パートタイプの履歴書ですと、思いが上手く伝えられなくなります。
またWEB上から履歴書フォーマットをダウンロードし印刷して使用するのも手です。WEB上にはさまざまな履歴書フォーマットが溢れていますので、自分に合ったものが選べます。
なお、履歴書は、手書きで書く方が好印象、と言われています。
【見本つき】看護師の履歴書の書き方の基本
ここからは看護師の履歴書の基本的な書き方を見ていきましょう。今回は厚生労働省が作成した『履歴書様式例」を利用して作成した見本を交えて、各項目の作成ポイントをまとめました。
1 日付
記入日ではなく、履歴書を提出する日を記入(郵送の場合は差出日)
年号は西暦か和暦(元号)かを統一する
2 氏名
戸籍上の氏名を書く
ふりがなは「ふりがな」とあれば平仮名で「フリガナ」とあればカタカナで書く
3 証明写真
3カ月以内に撮影した証明写真(カラー)を貼付
スナップ写真はNG
4 生年月日・年齢
年の表記は他の項目と西暦・和暦を統一
提出日の満年齢を書く
5 現住所
郵便番号や都道府県なども省略せずに記入。
6 電話番号
固定電話がなければ携帯電話の番号でOK
7 経歴
中学校卒業以上の学歴と職歴を記入
学校名、会社名は略語ではなく正式名称を書く
「学歴」「職歴」の項目は中央に書く
すでに退職している場合は「一身上の都合で退職」、現在も働いている場合は「現在に至る」と書く
8 免許・資格
免許・資格名は正式名称で書く
取得年月が古い順に書く
趣味に近いものは特に書く必要なし。
9 志望動機
履歴書の中でも最も重要な項目
面接でも聞かれる項目なので、履歴書には簡潔に書く
※志望動機の書き方は詳細を後述します
10 特技、自己PR
履歴書の中でも特に重要な項目
自分自身の強みやスキル、達成した実績や経験などを具体的に記入
自己PRは志望動機とつながる書き方がおすすめ
11 本人希望記入欄
特にない場合は、「貴院の規定に従います」と書く
勤務地や希望部署、勤務時間などの希望がある場合、譲ることのできない条件のみ簡潔にまとめて記載する
看護師ならではの履歴書作成の注意点
看護師の求人に応募する際には医療業界独特のルール・マナーを把握しておく必要があります。一般企業向けの履歴書であれば応募先企業を「貴社」と記載しますが、医療業界では応募先が病院であれば「貴院」、運営母体法人であれば「貴社」と表記しましょう。職歴欄には「入社・退社」ではなく「入職・退職」もしくは「勤務・退職」と表記します。
履歴書は「志望動機」が最重要ポイント!
履歴書で最も重要になるのは「志望動機」の部分です。この部分をいかに上手く書けるかが選考を左右します。
この志望動機を書く上でまず注意したいのが、ありきたりなことは書かないことです。「病院の理念に共感した」、「多くの方の役に立ちたい」など誰でも言える様なありきたりな理由は極力避けましょう。自分がどういう思いを持っており、どういった能力があるかがはっきりと分かる志望動機とするのが望ましいです。
またネガティブな表現も注意したい点です。前職を辞める経緯を「上司とそりがあわない」、「待遇がわるい」などとそのまま書くとネガティブな印象を与えてしまいますので、言葉を工夫しポジティブな表現で記載する様にしましょう。加えて「頑張りたいです」、「勉強させてもらいます」などの表現も弱気でネガティブなイメージを与えてしまいますので、言葉を選んでください。
看護師の職務経歴書の書き方
職務経歴書はこれまでの経歴や経験、スキルを詳細に伝えるための書類です。履歴書で住所、氏名、学歴や職歴などの幅広い情報を記載し、職務経歴書では深堀りした内容を記載します。
応募者にどのような経験や実績があるか?どのような知識やスキルがどの程度のレベルで備わっているか?を詳しく知ることができるため、採用担当者にとっては履歴書以上に重要な採否判断の材料となります。新卒の方は職務経歴書を準備する必要はありませんが、転職される方は必須で作成すべき書類です。
職務経歴書のフォーマット
職務経歴書を市販している店舗は少ないので、基本は自分で作成します。PCスキルもアピール出来ますので、極力市販でなく自前で用意するのが良いでしょう。職務経歴書も履歴書同様、WEB上に様々な職務経歴書フォーマットが溢れていますので、自分が書き易いものを選びダウンロードして使用しましょう。看護師転職の場合は、看護師転職サイトなどを調べるとより良いフォーマットが見つかるでしょう。
なお、職務経歴書はPCで書くのが通例です。
【見本】職務経歴書の書き方の基本
それでは実際に職務経歴書の書き方を項目別に見てみましょう。今回は厚生労働省の『職務経歴書の作り方』のパンフレットをもとに、編年体式(職歴を昔から順番に記載していく方式)の構成で見本をまとめました。
1 職務経歴
「病院名:○○」「病院概要:総合病院」「病床数○○床」「従業員○○人」といったように、働いた職場の規模が分かるように記載
2 業務内容
職務の概要を記入。「配属:内科」「担当:介護業務、受付業務」といったように、担当した業務を具体的に箇条書きにする
3 資格・スキル
看護職関連の免許や資格だけでなく、仕事に役立つ資格も取得順に正式名称で記入
4 自己PR
転職先で求められるスキルを想定し、これまでの業務を通して身につけたスキルから活かせそうなことを記載
自身が主体的に取り組んだエピソードを盛り込み具体的に書く
職務経歴書では自分のポテンシャルを伝える
役職やリーダー経験など評価される経験がある場合は、それが分かるように記載するようにしましょう。複数の職場や業務を担当した場合は、出来る限り漏れなく記載してください。
なお職務経歴書には職務経験や職務能力が分かる”事実”を記載します。アバウトな表現や、思い、願望など感情的な事柄を書くことは避けましょう。 職務経歴書内でも自己PR欄を設けることが出来ます。
自己PR欄には自身の思いや願望を記入しても問題ありません。
転職者の場合は、自分の思いやポテンシャルをいかに具体的に伝えられるかが特に重要になってきます。自分をよく見せる工夫も大切ではありますが、それ以上に今の自分の状態が具体的に伝わるように意識して書くことが重要です。
押さえておきたい!履歴書・職務経歴書の書き方のマナー
履歴書・職務経歴書のポイントは「丁寧さ」と「マナー」です。マナーがしっかりとできていて丁寧に作成されていれば、やはりやる気や熱意といった心が感じ取れます。ここからは履歴書・職務経歴書を作成する際に最低限押さえておきたいマナーについてご紹介します。
手書きの場合は、黒のボールペンで丁寧に書く
手書きで履歴書や職務経歴書を作成する場合は、黒のボールペンもしくは万年筆を使いましょう。鉛筆やシャープペンだと消えてしまったり汚れてしまったりします。楷書体で丁寧に、読みやすさを意識して書けば、字に自信がない方でも見栄えが良くなります。
間違えた場合は、修正ではなく新しく書き直す
書き間違いをしてしまった場合は新しい用紙で最初から書き直しましょう。履歴書や職務経歴書は非常に大切な書類です。修正液で修正したり二重線を引いて訂正したりすると、「重要な書類なのに雑に作っている」という印象を与えてしまいます。手間はかかりますが一から書き直しましょう。
できるだけ空欄がないようにする
空欄があると記入忘れを疑われる、あるいは「やる気がない」「アピールできることがない」と判断され印象が悪化してしまいます。可能な限り履歴書の項目は全部埋めましょう。「特になし」もNGです(本人希望欄など一部を除く)。
転職成功のコツは、この3つを明確にしておくこと
看護師は比較的離職率が高く、何度も転職されている方もいらっしゃいます。転職の目的が不明確なまま、あるいは応募先を下調べせずなんとなく転職してしまうと、「こんなはずではなかった」となり転職を繰り返してしまうということにもなりかねません。履歴書や職務経歴書を作成する際には、まず以下の3つのことを明確にしておきましょう。
転職の目的を明確にし、希望条件に優先順位をつける
まずはご自身が「転職してどうなりたいのか?」「転職先に何を求めているのか?」を考えてみましょう。ここが明確になっていないとミスマッチを起こして早期離職につながってしまいます。
「今の職場や仕事にどんな不満があるのか?」「なにをしたいのか?」「なにをしたくないのか?」「どのような働き方が理想的なのか?」「どんな職場で働きたいのか?」を自分自身に問いかけて紙に書いてみて、それらに優先順位付けをしましょう。そうすることで、理想の職場が見つかりやすくなります。優先順位をつけるのが難しい場合は、「絶対に譲れない条件」と「譲歩してもいい条件」に分けてみましょう。
十分な情報収集をし、できれば施設見学をする
上記のようにご自身を分析するのと同時に応募先についてもしっかりと調べておくことが大切です。ホームページや求人サイト、パンフレットなどで病院や施設の理念、事業・業務内容、教育制度などの情報を収集し、ご自身の看護観に合っているかどうかを考えてみましょう。また、職場環境、労働条件などがご自身の理想と合っているかどうかを確認することも大切です。
また、面接の前には施設見学を必ずしておきましょう。職場の雰囲気や仕事内容を見て・感じることができるため、履歴書や職務経歴書の内容も充実するはずです。
情報収集段階では「医療21」が役に立ちます。「Webで施設見学」では、独自取材で得た情報を全て発信しています。応募先に応じた志望動機や転職理由等を作成する際の情報収集に是非活用してください。
自分の長所・短所、身に着けたスキルを整理する
転職ではこれまでの経験をどのように活かして働きたいのか?が重要となります。自分の長所や短所を見つめ直し、これまでの経験やスキル、知識についても棚卸ししましょう。
そのうえで、志望動機や自己PRで応募先が求める人物像に合わせて自分の長所やスキルをアピールする、応募先の理念に共感する姿勢を示すことで説得力や具体性が格段に上がり、より好印象につながります。
パターン別の志望動機・転職理由の書き方(例文)
書類選考から面接に辿り着くためには、採用担当者に「この人と会ってみたい」と思ってもらう必要があります。そのためにはやはり志望動機が重要となります。ここからは採用担当者の心を引き付ける志望動機の例文をご紹介します。
スキルアップをしたい場合の志望動機
私は新卒から7年間大学病院で勤務しております。特に小児病棟に配属されてから、子どもの患者様と接するやりがいと難しさを感じ、「もっと子どものケアができる看護師になりたい」と思うようになりました。
「子どもを笑顔にする小児クリニック」という理念を掲げられ、医療面ではもちろん心のケアも大切にされている貴院で経験を積み、私も多くのお子様を笑顔にできる看護師になりたいと考え志望いたしました。
ブランクがある場合の志望動機
私は9年間内科の看護師として勤務し看護主任も務めておりましたが、出産・育児のため退職いたしました。子どもが小学校に進学したのを機に再び看護師として働きたいという想いが強くなりました。
施設見学の際に職場復帰された方が多いことと、私と同年代の方がイキイキ仕事をされている風景を見て、貴院を志望いたしました。ブランクはありますが、9年間で身につけた知識とスキルを活かして貢献してまいりたいと考えております。
転職回数が多い場合の志望動機
私はこれまで大学病院、総合診療所、外科の専門クリニック、内科専門病院での勤務経験がございます。分野も病床の規模もそれぞれ異なり、幅広い患者様と向き合ってまいりました。
貴院は地域の総合病院という位置づけであり、多くの患者様から支持されています。私も貴院でこれまでの経験や知見を活かし、地域医療の担い手になりたいと考えて志望いたしました。
採用担当者が重視するポイントは?
履歴書や職務経歴書を作成する際には採用担当者の視点も重要となります。ご自身を採用するメリットが採用担当者に伝われば、内定につながる可能性が大いに高まります。最後に採用担当者が履歴書・職務経歴書を見る際のポイントについて考えてみましょう。
欲しい人材にマッチしているか
採用担当者は履歴書や職務経歴書から応募者が「自院に合うかどうか?」を見極めます。経験やスキルを活かしてくれそうか?応募者の認識と企業理念や考え方とのズレがないか?職場に馴染めるか?といったさまざまな角度から検討していくので、これらの問いにアンサーするよう意識しましょう。
履歴書や職務経歴書の内容がありきたりなものになっていては、なかなか採用にはつながりません。「この病院でなければならない」「この病院でこんな経験やスキルが役立つ」というように、内容を具体化しましょう。
即戦力になれるか
特に転職の場合は即戦力となってくれる人材が求められる傾向が強いです。看護の基本的な知識やスキルは習得していることが前提であり、採用担当者は応募者の実績やレベルを知りたいと考えています。
どのような経験やスキルがあるのか?それらを活かしてどのように応募先に貢献できるのか?をなるべく具体的に記載しましょう。
長く働いてくれそうか
人材を採用してもすぐに辞められてしまっては医療サービスの質が低下し、研修などにかかったコストや労力も無駄になってしまいます。そのため採用担当者は採用したからにはできるだけ長く働いてほしいと考えています。
中長期的な目線でなりたい看護師像や将来の目標を明確にする、応募先で成し遂げたいことを明らかにすることで、「この人なら長く働いてくれるのでは?」と思ってもらえる可能性が高くなります。
まとめ:看護師の転職成功のカギは「志望動機」
数ある履歴書の項目の中でも、採用担当者からの印象を左右する特に重要な要素は「志望動機」です。志望動機からはその人のこれまでの経験やスキルはもちろん、熱意や想い、人間性など、さまざまな情報が読み取れます。
今回の記事でご紹介したようなマナーやポイントを押さえつつ、丁寧に作成しましょう。そうすればきっと転職が成功し、理想の職場、働き方に近づけられるはずです。
医療21コラム記事監修者
株式会社アドバン
人材採用サポート・Web事業・印刷物制作を中心とする事業を展開する株式会社アドバンを1991年に設立。人材採用サポートの中でも、医療・介護業界に特化する専門求人サイト『医療21』『介護21』を運営。リアルな求人情報を届け、人材紹介ではない”ベストマッチングの場”を提供している。