2023年12月23日
看護師の退職ガイド/退職までの流れと注意点
看護師を退職する理由は、人によってさまざまです。しかし、看護師を退職すると決めたなら、誰もがトラブルなく円満に退職したいと思うものです。そのためには、あらかじめ退職の流れや注意するポイントについて理解しておく必要があります。
そこで、看護師が退職するまでの流れや注意点、よくある退職理由をご紹介します。お世話になった職場を円満に退職するために、看護師退職のポイントを押さえておきましょう。
2.看護師を退職するまでの流れ
―― 1)就業規則を確認し、退職希望日とそれを伝える日を決める
―― 2)退職の意思・理由を直属の上司へ伝える
―― 3)病院と相談し正式な退職日を決める
―― 4)退職届を作成し上司へ提出する
3.看護師の退職の際の注意点
―― 1)後任者への業務引き継ぎ
―― 2)退職日を書面に残す
―― 3)備品の返却・重要書類の受取
4.看護師のよくある退職理由とは
5.伝えてはいけない看護師の退職理由
6.失敗しない退職意思の伝え方
7.まとめ
1.看護師の退職状況とは
厚生労働省が2011年に看護師や保健師などの看護職員を対象に就業状況の実態を調査しました。その結果報告PDFが、厚生労働省サイトの コチラのページ に、「資料2看護職員就業状況等実態調査結果」として、公開されています。
この調査結果によると、調査対象者の半数以上が過去に1回以上の退職を経験しています。現在も看護職員として就業している人の5割強、現在は就業していない人との合算では6割弱が退職を経験しています。
また、退職後に看護の仕事に再就職した割合は75.6%、再就職までの期間は1年未満が最も多く49.8%でした。
この調査結果から、看護師は退職後の再就職も看護の仕事を選ぶ人が多いこと、およそ半数は1年未満という短期間で再就職に成功していることがわかりました。看護師の退職は珍しいことではありませんが、看護職の需要の高さもうかがえる結果となりました。
2.看護師を退職するまでの流れ
働いている職場を辞めると決めてから実際に退職するまで、どのような流れになるのでしょうか。職場によって多少の違いはありますが、看護師の退職は以下の流れが一般的です。
1)就業規則を確認し、退職希望日とそれを伝える日を決める
看護師を退職する場合、最初にすべきことは病院の就業規則の確認です。法的には14日前までに退職の意思を示せば問題ないとされていますが、遅くとも退職希望日の1カ月前には申し出るのが一般的です。
しかし、病院の就業規則の退職に関する項目の中で、「○カ月前までに」と明記されている場合もあります。あらかじめ就業規則を確認し、退職希望日とそれを伝える日を考えておきましょう。
2)退職の意思・理由を直属の上司へ伝える
退職希望日が決まったら、まずは直属の上司へ退職の意思・理由を伝えます。この時点では退職届を提出せずに、あくまで退職の意向を伝えるのみにしましょう。
病院によって対応は異なりますが、上司面談後に看護部長や事務長面談へと進むのが一般的です。
3)病院と相談し正式な退職日を決める
勤務先の病院と相談しながら、正式な退職日を決定します。ここでは業務の引き継ぎやシフト状況などを話し合い、退職までの大まかなスケジュールを決めていきます。
上司からは退職希望日を聞かれると思いますが、最低でも1カ月以上先の日付を伝えるのが無難です。あまりに退職日までの期間が短いと、引き継ぎが間に合わなかったり、シフト調整ができなかったりと、職場に迷惑をかける可能性があります。
4)退職届を作成し上司へ提出する
正式な退職日が決まったら退職届を作成し、直属の上司へ提出します。職場によっては退職届のフォーマットが決められている場合もあるため、あらかじめ確認しておきましょう。自分で用意する場合は、白い無地の便箋が望ましいとされています。
また、退職願は提出後の撤回が可能ですが、退職届は受理されると原則撤回できません。しっかりと意思を固めてから提出しましょう。
3.看護師の退職の際の注意点
看護師を退職する前にやっておかなければならないこと、退職の際の注意点をご紹介します。退職直前に慌てなくて済むように、事前に確認・準備しておきましょう。
1)後任者への業務引き継ぎ
退職前には、後任者へしっかりと業務の引き継ぎをしておく必要があります。自分しかおこなっていなかった業務があれば、後任者が困らないように手順書を作成しておくとよいでしょう。
業務内容にもよりますが、引き継ぎ期間は少なくとも1カ月は必要です。後任者の不安や業務の負担を少しでも減らすために、念入りかつ丁寧な引き継ぎを心がけましょう。
2)退職日を書面に残す
病院側との認識違いやトラブルを防止するため、退職日や最終出社日は書面に残しておきましょう。法的には退職を申し出る方法に決まりはなく、口頭で退職の意思や退職日を伝えるだけでも成立します。
しかし、口頭では証拠が残らないため、後々何らかのトラブルが起きた場合に対処できません。自分自身のためにも、重要な内容はすべて書面で残すことをおすすめします。
3)備品の返却・重要書類の受取
退職時には、備品の返却や重要書類の受取を行います。備品の返却は基本的に退職日当日か業務が終わった後におこないますが、何を返却する必要があるのか事前にチェックしておきましょう。
また、重要書類は退職日当日に受け取る場合もあれば、退職後に郵送される場合もあります。郵送の場合は、どのぐらい時間がかかるか確認しておきましょう。
職場に返却するもの 例 | 健康保険証、職員証・職員バッジ、ユニフォーム、機密資料、鍵 ほか |
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職場から受け取るもの 例 | 離職票、源泉徴収票、雇用保険被保険者証、年金手帳 ほか |
4.看護師のよくある退職理由とは
上司へ退職の意思を申し出るとき、退職理由もあわせて伝えることになるでしょう。その場では、退職理由は必ずしも正直に伝えた方がよいとは限りません。
理由が曖昧だと強い引き留めにあい、なかなか退職できない可能性があります。そのため、相手が納得せざるを得ない退職理由を伝えることをおすすめします。
ここでは、看護師のよくある退職理由を5つご紹介します。
出産・育児 | 厚生労働省の調査によると、看護師の退職理由として最も多かったのは「出産・育児のため」でした。出産や育児を控えた看護師がハードな業務を続けるのは難しいため、一度職場を離れる看護師が多いようです。 |
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配偶者の転職・転勤 | 配偶者の転職や転勤に伴う転居によって、職場への通勤が困難になった場合は退職せざるを得ないでしょう。物理的に通うことができないため、最も納得させやすい退職理由と言えます。 |
家族の介護 | 家族の介護や健康問題といった家庭の事情は、やむを得ない退職理由になるでしょう。介護も看護師も体力のいるハードな業務です。介護をしながら看護師の業務も続けるのは難しいため、無理に引き留められることはないでしょう。 |
他分野への興味 | 看護師以外の他分野への転職を希望しているなら、上司も納得するしかありません。ただし、他分野へ転職する熱意や今後のキャリアプランなどを面談で聞かれる可能性があります。何を聞かれても答えられるように、しっかり準備しておきましょう。 |
自身のスキルアップ | 看護師としてスキルアップするために、他施設へ移りたいと考える方は多くいます。厚生労働省の調査では、「出産・育児」や「結婚」の次に「他施設への興味」が退職理由として多くあがりました。前向きな理由であれば、退職理由として不利に働くことはないでしょう。 |
5.伝えてはいけない看護師の退職理由
伝えてはいけない看護師の退職理由は、ネガティブな内容です。特に職場の人間関係や超過勤務、給料に関する不満を退職理由として伝えるのは避けた方がよいでしょう。
職場に退職の意思を伝えても、実際に退職するまでは1~3カ月程度かかります。その間は通常通り勤務するため、できる限り居心地良く過ごしたいものです。円満に退職するためにも、ネガティブな退職理由は極力使わないよう注意してください。
また、看護師の退職時だけではなく、新しい職場の面接で前職の退職理由を聞かれた時も、ネガティブな理由は話さないようにしましょう。同じ理由で辞められてしまうのではないかと、マイナスな印象を与えてしまいます。
6.失敗しない退職意思の伝え方
職場を円満に退職するには、退職の意思や理由の伝え方が全てと言っても過言ではありません。伝え方によっては相手との認識違いが起こり、トラブルに発展する可能性があります。
職場に退職の意思を伝える際は、以下のポイントに注意しましょう。
●最初に退職の意思を伝えるのは「直属の上司」
●相手が忙しい時間帯の話し合いは避ける
●退職希望日は退職の意思を伝える日から2~3カ月後がベスト
●退職日や最終出勤日は書面に残しておく
7.まとめ
看護師が退職する理由は人それぞれですが、必ずしも本音を伝える必要はありません。看護師の退職理由で多いのは、出産や育児などのやむを得ない理由、自身のスキルアップなどの前向きな理由です。人間関係や職場の不満といったネガティブな理由は避けた方がよいでしょう。
また、職場を円満に退職するには周囲への気配りや思いやりが大切です。退職希望日は余裕を持った日にちを伝える、引き継ぎはできる限り丁寧におこなうというように退職日までの行動に注意を払い、円満退職を目指しましょう。
医療21コラム記事監修者
株式会社アドバン
人材採用サポート・Web事業・印刷物制作を中心とする事業を展開する株式会社アドバンを1991年に設立。人材採用サポートの中でも、医療・介護業界に特化する専門求人サイト『医療21』『介護21』を運営。リアルな求人情報を届け、人材紹介ではない”ベストマッチングの場”を提供している。