2023年12月23日
看護師の離職率・転職率が高い理由
看護師は人気の職業である反面、離職率の高い職業でもあります。
看護師の直近2014年度の離職率は、常勤11%、新卒7.5%でした。一時期よりは若干落ち着いてきてはいるものの、他業種から比べるとまだまだ高い離職率となっています。この場合の離職は、職場を辞めることを意味しています。離職率が高くなるのは、転職による離職が多いためです。
最初に就職した職場で継続して経験を積み、キャリアアップして行く方も皆無ではありません。しかし、“看護師の7割は1回以上の転職を経験する”と言われており、1回どころか、6回、7回と転職する例もあります。
多くの方は志を持って看護師を目指し、学校を卒業した後の就職先を選ぶ際には慎重を期しているはずです。それでも転職を求める看護師が少なくないのです。なぜ看護師は転職する人が多いのでしょうか。
転職が多い理由
転職先の見つかりやすさ
転職が多い背景には、転職先が見つかりやすい、ということがあります。国家資格であるため誰でもなれる職業ではないということ、たえず看護師不足で多くの医療機関が看護師を求めていること、職場が変わっても仕事内容は共通面が多いということ、といった理由で、転職しようとする看護師を受け入れてくれる医療機関がたくさんあります。この看護師という職業の特性が、一般企業などとは異なる転職の多さの背景にあります。
ライフイベントによるもの
日本全国の看護師のうち9割以上が女性で、女性は結婚、妊娠、出産、育児といったライフイベントによって仕事を続けられなくなるケースが少なくないため、これも離職・転職率の高い理由のひとつです。
結婚や夫の転勤等を機に転居する場合などの転職もありますし、出産、育児をきっかけとしての離職もあります。産休・育休制度がしっかりしていて、かつ、魅力ある病院であれば、産休・育休後に戻ってくる看護師が多い場合もありますが、出産を機にその職場を辞めて、落ち着いてから別の医療機関に就職する方もたくさんいます。育児をきっかけとする離職の場合、ブランク期間が1年から2年という方が最も多いのですが、中には5年、または10年以上を経て復職を目指す看護師もいます。
スキル・収入・キャリアの向上
スキルアップ、収入アップ、キャリアアップのために転職するケースもあります。 例えば、上位の資格を取得するために一定期間の研修や通学が必要な場合、働きながら勉強をする方法もありますが、勤務時間の短い現場に移って勉強のための時間を確保する方もいるようです。また、純粋に給与条件の良い職場に転職するケースもあるでしょうし、スキルアップのために海外研修や海外派遣に立候補することもあるでしょう。 同じ現場で長く勤めながら地位向上を目指す方法もありますが、大学病院などでステップアップを実現して行くにはどうしても時間がかかります。大学病院でスキルを磨いたあと、民間病院に移り、主任、病棟師長、看護部長、などとキャリアアップする方は多くいます。
人間関係
もちろん、人間関係面でのトラブル・悩みなどから転職する方もいます。それは一般企業同様なわけですが、上記(1)の、「転職先が見つかりやすい」ということがあるため、踏みとどまる必要がない、ということはあります。
求職者の転職回数が採用担当者にとってどう映るか
一般的な職業の場合、転職回数が多いと転職の際にマイナスポイントになってしまいますが、看護師の場合、一般企業ほどにはマイナスにはなりません。それは、看護師は転職経験がある人が多いので問題視されないということ、看護師不足なため採用の設定ハードルがそれほど高くない医療機関が多いということなどがあるためです。スキルアップのための転職などは、上手に伝えれば、アピールポイントにもなります。
もちろん、転職経験が問題視されないといっても、例えば20代で7回の転職経験、などの場合は、採用側も問題視します。短い期間で転職する人については、採用担当者は「きっとうちに入職してもすぐ辞めてしまうんだろう」と考え、不採用とする理由になります。御注意ください。
医療21コラム記事監修者
株式会社アドバン
人材採用サポート・Web事業・印刷物制作を中心とする事業を展開する株式会社アドバンを1991年に設立。人材採用サポートの中でも、医療・介護業界に特化する専門求人サイト『医療21』『介護21』を運営。リアルな求人情報を届け、人材紹介ではない”ベストマッチングの場”を提供している。