【夜勤看護師の働き方完全解説】必ず抑えておきたい基礎情報

2024年11月20日

「夜勤は給料が上がるのが魅力的だけど忙しそう」「残業が多くて大変そう」……そんな不安をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、最近では夜勤看護師の労働環境も改善されてきて働きやすくなっています

この記事では夜勤看護師の仕事内容や勤務実態について解説。気になるお給料事情やキャリアについてもご紹介します。

ページ目次

夜勤看護師の日本における現状とは?

今、日本の労働人口が減少していて、看護師についても例外ではありません。特に夜勤看護師はなり手が少なく、長時間労働になりがちでした。そこで各病院では環境整備に力を入れ、国でも制度改革が進められた結果、以前と比較してだいぶ働きやすくなりました。確かに夜勤は大変な面もありますが、安定して高収入で働ける環境であるといえます。

夜勤看護師の仕事内容と職場

大学病院や病棟のある中〜大規模の病院であれば、常に患者さんが院内にいる状態なので夜勤があります。内科、外科、産科・産婦人科、消化器内科、循環器内科、救急救命科などで夜勤が多い傾向です。

2交代制であれば夜勤看護師はだいたい夕方に出勤し日勤の看護師から引き継ぎをして業務開始となります。ちょうど患者さんの夕食の時間帯になるので、食事の配下膳や食事介助、服薬確認、バイタルチェックなどを行います。その後、巡回やナースコール対応などを行い消灯となります。

患者さんが寝静まった後は交代で仮眠を取りつつ書類作成や巡回、体位交換などを行うほか、急患の対応もしなければなりません。

朝になったらバイタルチェックや点滴の交換、採血、食事の配下膳、食事介助などを行います。その後、書類作成や日勤の看護師と引き継ぎを行い、退勤です。

日勤と夜勤の働き方の違い

日勤の看護師は朝から夕方まで、勤務時間は概ね8時間程度です。いわゆる一般的な会社員と同じような働き方となります。一方、夜勤看護師は2交代制か3交代制かによって勤務時間は大きく変わってきます

日勤と夜勤に分かれている2交代制の場合、夜勤看護師は夕方から翌日の朝まで、勤務時間は16時間程度です。ただし、途中で数時間休憩があり仮眠を取ることが可能です。

日勤と準夜勤、夜勤に分かれている3交代制の場合、準夜勤は夕方から深夜まで、そして夜勤看護師は深夜から翌朝まで、それぞれ勤務時間は8時間程度です。

2交代、3交代の違いについては、以下の記事でさらに詳しくご紹介しています。

また、夜勤看護師も日勤看護師と同様に常勤(正社員)のほか非常勤(パート・アルバイト)といった雇用形態があり、ご自身の都合に合わせて選ぶことができます。「夜勤専従」と書かれた求人を見かける機会もありますが、これは夜勤のみを行う看護師のことを指します。

夜勤専従の具体的な種類

夜勤専従の看護師についても、常勤、非常勤という雇用形態があり、その名のとおり夜勤をメインとして働くことになります

たとえば新卒で常勤の夜勤専従看護師になるパターンもあれば、転職して常勤・非常勤の夜勤専従になるケース、定年退職後あるいは副業として数日間だけ非常勤の夜勤専従で働くなど、夜勤専従として働くきっかけは人それぞれです。

また、本人の希望で同じ病院内で日勤から夜勤専従に移る、人手不足のため一時的に夜勤専従に配置換えになるケースもあります。

夜勤看護師として働くうえで知っておきたい2つのこと

同じ病院の看護師であっても、日勤と夜勤では大きく環境や働き方が変わります。ここからは夜勤看護師として働く上で知っておくべきことを2つご紹介します。ぜひ以下のことを念頭に置いて職場探しをしていただければと思います。

夜勤看護師に必要な心構え

夜勤看護師はどうしても生活リズムが崩れがちであり、日勤とはまた仕事内容が違ってくるので、慣れるまでには心身の負担が大きく感じられることがあります。

まずはしっかりと体調のコンディションを整えるようにしましょう。仮眠はちゃんと取るようにし、体調が悪いと感じたら無理は禁物です。

また、夜勤は急患の受け入れや患者の急変なども多くなります。しっかりと他の看護師と連携をとって、わからないことがあればすぐに聞くようにしましょう。落ち着いて、冷静に物事を対処することも大切です。

夜勤看護師によくある悩み

2交代制、3交代制といった働き方や年齢、性別関係なく、以下のような悩みがつきものです。

  • 生活リズムを整えるのが難しい
  • 明け方に眠くなる
  • 疲れが取れない
  • ナースコール対応や急患の受け入れで忙しい
  • 残業が発生する

先ほどもご紹介したように、健康管理をしっかり行い、休憩時間はなるだけ仮眠をするようにしましょう。オフのときは好きなことをしてストレスを溜め込まないことも大切です。また、特に慣れないうちは無理せず、先輩や上司に頼りましょう

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夜勤看護師のはたらき方

夜勤看護師は大変な面も多々ありますが、それでもさまざまなメリットがあります。ここからは夜勤看護師の特徴や給料事情、キャリアについて見ていきましょう。

夜勤看護師の勤務の特徴

まず挙げられるのは給料が高いということです。やはり夜勤手当がつくため日勤看護師よりも給料は高額になります。詳しくは後述しますが、1回あたり5,000〜10,000円の手当がつくため、日勤の給料よりもかなり高額になります

また、比較的自分の時間が取りやすいというのもメリットです。平日の日中に動けて、連休も取りやすいため、空いている時間に遊びに行ったり旅行に行ったりできます

加えて日勤は看護業務以外にも研修会や勉強会の準備や病院運営に関わる業務などを任されることもありますが、夜勤の場合は看護業務に専念できるというのもメリットといえます。

需要が高まる夜勤看護師の給与は高い?

看護師の給与は病棟の規模によって左右される傾向があり、病床数が多ければ多いほど、給与も高くなるようです。また、夜勤看護師には夜勤手当がつき、一般的な看護師と比較するとさらに高収入になります。

病床規模による給料相場(2023年度実績)

病床規模 給料 給与総額
99床以下 23万8,939円 31万2,151円
100~199床 24万2,411円 32万2,341円
200~299床 24万7,792円 32万6,827円
300~399床 25万8,928円 33万9,992円
400~499床 26万3,266円 34万6,317円
500床以上 27万610円 35万8,465円

日本看護協会が発表している『2023年病院看護実態調査(31p)』によると、1回の勤務あたり3交代準夜勤では平均4,234円、3交代深夜勤で5,199円、3交替夜勤で11,368円の夜勤手当が支給されます。たとえば2交代夜勤を月10回行えば、夜勤手当だけで10万円もらえる可能性もあるということです。

夜勤専従看護師の1回あたりの夜勤手当額(2023年度実績)

区分 平均
三交代準夜勤 4,234円
三交代深夜勤 5,199円
二交替夜勤 11,368円

夜勤看護師のキャリアプラン

夜勤の場合、少人数でさまざまな業務に対応する必要があります。緊急を要する事態も少なくないため、忙しくて大変に思われるかもしれません。しかし、その分看護師としてスキルアップできるスピードも速くなります。

たとえば希望する病棟で看護のスペシャリストを目指す、職場のリーダーや管理職を目指すといったキャリアアップのチャンスもあります

夜勤看護師に向いている人

夜勤看護師が向いている人としてはまず自己管理ができる人が挙げられます。前述のとおりどうしても夜勤看護師は生活リズムを整えるのが難しいです。しっかりと自分の生活スタイルを確立できて、体調も管理できる方であれば、ハードな勤務も乗り越えられるでしょう

自分の時間を大切にしたい方にもぴったりです。平日の昼間に行動できるので、一人の時間を楽しみたい方、旅行や趣味を楽しみたい方には合っているかもしれません。夜勤手当もつくので、たとえば日勤時の収入を維持したまま勤務日を減らすということも可能です

夜勤アルバイトと資格

アルバイトで夜勤看護師として働くことも可能です。しかし、そのためにはまず大学や専門学校で「准看護師」という資格を取得しましょう。准看護師として就職して看護師の補佐をしながら経験を積み、「看護師」の資格を取得してキャリアアップを目指すという道もあります。看護師資格が取得できれば、常勤職員として就職するのにも有利になります。

夜勤看護師のよくある質問

ここからは、夜勤看護師に就職・転職を考えられている方がよく疑問に思われがちなことにQ&A形式で回答していきます。

夜勤看護師になるために必要な資格はありますか?
前述のとおり「准看護師」や「看護師」の資格が必要となります。また、急性重症患者看護専門看護師などの専門的な資格があると、より実務の役に立ちます。
日勤から夜勤、夜勤から日勤に移ることはできますか?
はい。他の病院に転職するほか、同じ病院でも日勤から夜勤、夜勤から日勤に異動できます。
仮眠は本当に取れるのですか?
2交替制の夜勤看護師の場合、一般的に2〜3時間程度の休憩を取ることができ、そこで仮眠をします。しかし、ナースコール対応や患者さんの急変、急患の受け入れなどで仮眠が取れない場合もあります。
急患の受け入れや入院患者さんの急変時はどうしたらいいですか?
まずはマニュアルに従って落ち着いて状況を把握し、先輩や上司、必要に応じて医師の指示を仰ぎましょう。常に他の看護師とコミュニケーションをとり、緊急時の対応方法について把握するとともに、シミュレーションしておくことが大切です。

【働き方改革関連法】看護師の新たな時代へ

もともと看護師はイレギュラーな事態が発生しやすく、どうしても長時間労働になりがちな職種です。特に夜勤看護師は人数が少ないため、残業が常態化し、その結果医療ミスや労働災害が発生したケースもありました。

そこで、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律、いわゆる働き方改革関連法案で看護師の労働環境改善についても盛り込まれました。たとえば時間外労働の罰則付き上限の導入、年次有給休暇5日間の取得の義務化、同一労働同一賃金、勤務間インターバル制度の努力義務化などが実施されます。

もちろん、すぐに長時間労働がまったくなくなるというわけではありませんが、以前と比較すると夜勤看護師の労働環境は格段に改善が進んでいるといえます。

2025年問題が看護師に与える影響

少子化によって看護師のなり手はどんどん少なくなっているのが実情であり、さらに2025年には団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者となります。

今後、今以上に看護師の需要が高まり、夜勤看護師も含めてさらに看護の現場で人手不足となる可能性があります。一方で人材を確保するために給与や労働環境を見直す動きもさらに加速し、IT技術の向上でシステム化も進み業務負担の軽減が期待されます。

確かに2025年問題により看護師の負担は大きくなることが懸念されますが、同時に在宅看護や地域医療の分野などで、看護師が活躍できるフィールドも増え、待遇改善も進むものと考えられます

まとめ:夜勤での勤務をキャリアの選択肢の一つに

夜勤看護師は大変な面も多いですが、収入も高く、スキルアップが目指せてやりがいも大きい仕事です。ぜひ患者さんに寄り添いながら専門スキルを磨き、キャリアアップを目指してみましょう。

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