医療事務とは、病院やクリニックにおける医療の事務を行う仕事のことをいいます。
医療事務は医師や看護師と違って必要資格はありません。民間のさまざまな資格が存在しますが、民間の資格はあくまで個人の知識レベルを示すために受けておくものとなります。ただし、有名な資格ならば、それが民間資格であっても、知識レベルの高い人と見なされ、採用には有利に働くことになります。
医療事務の主な仕事内容は、医療費計算と、患者様対応です。
医療費計算は「レセプト業務」と呼ばれる業務で、医療事務ならではの専門性の高い業務です。患者さんが病院で診療を受ける際には健康保険を使って保険診療を受けることが一般的ですが、病院・クリニックは、患者本人負担とは別に各種の健康保険組合に対して診察費用を請求することになります。その時に必要となる診察法相明細書(レセプト)を作成するのがレセプト業務の中身です。レセプトには該当患者の氏名、診察した医療機関、診察対象となった疾病、それに対して行われた処置、使用薬に応じた診療報酬点数を月次でまとめて記載します。病院にとって正しい報酬を受け取るためにとても重要な業務です。
患者様対応の業務は、受付業務、会計業務、クラーク業務、があります。
◆「受付業務」は、患者さんの来院時に保険証を預かり、診療申し込みの記載をしてもらい、具体的な受診部門への案内をするのが主な仕事となります。初診の患者さんには診察券の発行やカルテの作成なども行うことになります。
◆「会計業務」は、診察が終了した患者さんから診療費用を徴収するしごとです。カルテと診療報酬点数表、患者さんの加入する医療保険をもとに請求金額を算定し、支払いを受けることになります。
◆「クラーク業務」は、医療事務に就いたことのない人間にとっては聞きなれない言葉です。「医療事務作業補助者」を「クラーク」と呼び、外来クラークと病棟クラークの二つの業務があります。「外来クラーク」は、患者と診察する医師の橋渡しを行う業務です。受付業務をはじめとして電話への対応、患者さんの呼び出し、カルテ、レントゲンなどの準備や検査データを準備するのが主な仕事で、看護婦とはまた異なる医師のアシスタントということができます。「病棟クラーク」は、入院病棟において発生する事務作業全般に対応する業務です。入院手続きから始まって、食事伝票管理、手術、検査スケジュールといった病院内での業務の管理全般を行います。