歴史ある病院は、地域との信頼関係ができていて、質の高い医療を提供し続けるために教育に力を入れていそうですよね。葛飾区唯一の精神科単科病院である「葛飾橋病院」は、時代と地域のニーズに合わせたリニューアルを図りながら、65年以上の歴史を刻んでいるとのこと。長い歴史の中で、未経験から精神科看護に携わる人材の育成にも取り組んできたそうなので、さっそく見学に行って働く魅力を見つけてきます。
- 形 態
- 精神科病院
- 所在地
- 東京都葛飾区/金町駅
- 病床数
- 209床
玄関
「葛飾橋病院」へのアクセスは、JR・京成電鉄「金町駅」から5分ほどバスに乗り、「桜土手」または「東金町7丁目」バス停で下車して徒歩3分。23区内の病院では珍しく、職員用の無料駐車場も完備されていて、スタッフの約半数はマイカー通勤なのだとか。玄関で迎えてくれたのは、訪問看護師として活躍する主任看護師さん。「ようこそ!今日は自慢の職場をたっぷりとご紹介しますね」。
外来待ち合いフロア
まずは、外来待ち合いフロアへ。「入院期間の短縮化のために外来診療機能を充実させていて、院長が中心となって最新の治療法を積極的に導入しています。2023年度からは統合失調症の患者様を対象に、月1回の注射で数週間お薬の効果が続く『LAI(持続性注射剤)』による治療を開始しました。新しい治療法を取り入れる際は、院長自ら勉強会を開いてくださるんですよ」と、主任さん。
事務室
お次は、事務室でピアサポーターさんを紹介していただきました。「当院では、元患者様に同じ悩みを抱える患者様に寄り添ってもらうサポート(=ピアサポート)をお願いしています。こちらのピアサポーターさんは、併設の精神科デイケアに通いながらピアサポートにも携わっていて、得意とするパソコンスキルを活かし、当院の広報活動まで担ってくれているんですよ」。素敵な取り組みですね。
駐車場
駐車場に行き、訪問車を見せていただきました。「当院の訪問看護の対象となる方は、退院された患者様と外来患者様のみで、現在約110名の利用登録があり(2023年10月)、需要が増え続けています。訪問時はご近所の目を気にされる患者様もいらっしゃるため、白衣の着用は避け、なるべく自然体で接することを心がけています」。ニーズの増加を見据え、訪問看護師として活躍したい方も歓迎しているとのこと。
廊下
院内に戻り、精神科認定看護師の資格を持ち、2人のお子さんを育てる折笠看護部長にお会いしました。「2023年10月から部長に就任したばかりですが、自身の経験を活かし、『子育て世代の働きやすさ』と『専門性を磨ける環境』をしっかり整えていく方針です。2024年度からは、外部の精神看護専門看護師(CNS)にコンサルテーションを依頼し、院内研修の講師として活躍してもらう計画も立てています」と、看護部長。
スタッフステーション
スタッフステーションに伺うと、新人教育が行われていました。「精神科の未経験者やブランクがある方も安心して働けるように、入職後は業務に慣れるまでサポート役の先輩が付き、こんなふうにマンツーマンのOJTを行っています。当院では看護実習を受け入れているため、実習指導者資格を持つスタッフも多く、精神科看護の基本から丁寧に教育してもらえる環境があるんです」と、主任さん。
病棟
つづいて、看護助手の皆さんを紹介していただきました。「近年、認知症を抱える高齢の入院患者様が増えているため、日常生活支援や身体介助、環境整備などを担う看護助手も積極的に採用しています。看護助手は無資格・未経験OKで、働きながら看護学校に通う学生さんや、外国人スタッフも複数活躍していることが特徴です」と、主任さん。多様な人材を受け入れているのですね。
スタッフステーション
お次は、多職種カンファレンスの様子を見学しました。「チーム医療を推進する当院では、このような職種を超えた話し合いの場を大切にしています。医師をはじめ、作業療法士・精神保健福祉士・薬剤師などの専門職と連携し、患者様一人ひとりに合わせた支援を検討してスムーズな退院に導いているんです」。今後は地域の関連施設との連携強化を図るため、地域連携看護師の配置も予定しているのだとか。
スタッフステーション
スタッフステーション内には、患者様の状況観察のための大きなモニターが設置されていました。「今までは一部の病棟のみモニターを設置していましたが、患者様とスタッフの安心・安全を守るため、全病棟に設置しました。身体拘束や行動制限を最小限に抑えたいので、見守りがしやすいモニターには助けられているんですよ」と、主任さん。働きやすさにつながる設備の導入は随時行っているそうです。
廊下
つづいて、子育て中のスタッフの皆さんを紹介していただきました。仕事と子育ての両立は順調ですか?「はい。日勤の勤務時間は9時~17時で、朝は子どもを送り出してから出勤できますし、残業もほとんど発生しないため家族の時間を大切にできています。子どもの体調不良によるお休みにも理解のある職場ですし、有休を半日単位で取得できるため、子どものちょっとした用事がある時に便利ですよ」と、皆さん。
体育館
最後は、目の前にある病院所有の体育館を案内していただきました。「普段は患者様の運動のために利用していますが、定時を過ぎるといろいろな部署のスタッフが集まり、バドミントンやバレーボールを楽しんでいます。体育館だけでなく、病院所有のグラウンドまで併設していて、スポーツを通じて仲間と距離を縮めることができています」。魅力的な設備ですね!今日はありがとうございました。
帰り道
――お疲れさまでした。歴史ある精神科病院、いかがでしたか?
- 歴史ある病院だからこそ、最新の治療法や設備を積極的に導入し、時代に合わせた精神科医療を提供できるよう努めていました。看護部では世代交代を進めているそうで、看護部長も2023年10月に新しくなったばかりでしたし、実力次第で若手にも責任ある立場を任せている印象でした。
――特徴的な取り組みはありましたか?
- 精神科デイケアの運営や訪問看護の提供など、退院後の生活まで支える体制を整えていることです。看護部長としても、精神科看護師の活躍の場を広げるため、訪問看護師の増員や、地域連携看護師の育成などを検討していましたし、2024年度からスタート予定の精神看護専門看護師による専門講義を通して、より多くのスタッフに精神科看護の可能性を実感して欲しいのだとか。
――では、ここはちょっと、という点は?
- 歴史ある病院なので、レトロなハード面が気になる方もいるかもしれません。ただ、設備のメンテナンスは行き届いていますし、今後も老朽化したハード面は随時リニューアルしていく方針とのこと。
――最後に、ここだけの話を教えてください。
- スタッフの皆さんにとって、職場の自動販売機の種類が多いことがとても好評なのだとか。特に、アイスクリームの自動販売機が人気だそうで、休憩時間や仕事帰りにアイスクリームを購入する方が多いそうですよ!
未経験から精神科看護のプロを目指したい方
子育て中も無理なくキャリアを磨き続けたい方