精神科看護に興味があっても、未経験からの挑戦に不安を感じてしまう方もいるかと思います。東京都練馬区にある「陽和病院」では、未経験から精神科看護のプロを育成する教育体制を用意し、新卒者や精神科未経験者も歓迎しているとのこと。精神科の救急・急性期から慢性期、認知症ケア、在宅支援まで学べる環境があり、さまざまな働きやすさも整っているらしいので、さっそく見学に行ってチェックしてきます!
- 形 態
- 精神科病院
- 所在地
- 東京都練馬区/石神井公園駅
- 病床数
- 260床
エントランス
「陽和病院」へのアクセスは、「石神井公園駅」北口からバスに乗り、「大泉町2丁目」バス停で下車して徒歩約5分。「成増駅」「大泉学園駅」「和光市駅」からのバスも本数が多くて利用しやすいそうです。エントランスで迎えてくれたのは、入職10年目の看護主任さん。「このイルカのモニュメントは、当院の目指す『心の癒し・自由さ』を象徴しています。外観壁面にもイルカの立体的な装飾が施されているんですよ」。かわいいですね!
廊下
玄関を入り、砂道看護部長にお会いしました。新卒者や精神科未経験者の採用にも積極的だそうですね。「ええ。看護部には当院で働きながら看護師の資格を取ったスタッフも多く、卒後教育や精神科の基礎を学ぶ研修が充実しています。新卒・未経験者の採用実績が豊富なので、OJT体制も整っていて、第2新卒者やブランクのある方でも安心して働ける環境があり、私自身も入職当初は無資格・未経験のケアワーカーでした」と、看護部長。
会議スペース
看護部長と会議スペースへ伺うと、教育担当師長(写真右から2番目)と副看護部長のお2人(写真両脇)が年間研修計画について話し合っていました。「院内研修は、看護部教育委員会が主催する入職年数別研修やラダー研修と、病院の教育委員会が主催する研修があります。外部研修にも参加を促し、資格取得支援も行っているため、CVPPP(包括的暴力防止プログラム)トレーナーや精神科認定看護師なども複数名活躍しています」と、皆さん。
カンファレンスルーム
つづいて、スーパー救急病棟のカンファレンスを見学させていただきました。「当院には6割以上の患者様を3カ月以内に退院に導く『スーパー救急病棟』が2つあり、入院時から退院支援計画を多職種で立案しています。スーパー救急病棟では、患者様を交えた朝のミーティングを毎日行い、1日2回スタッフ間で情報共有を行うなど、患者様一人ひとりを深く理解し、個別的な退院支援を目指しています」と、看護主任。
スーパー救急病棟
「こちらはスーパー救急病棟の看護師長で、5歳と1歳のお子さんを持つママさんです」と、紹介していただきました。子育て世代も管理職として活躍しているんですね。「ええ。第2子の育休から復帰後、まもなく師長昇格のお話をいただき、少し不安もありましたが、小さな子どもがいても管理職が目指せることを後輩たちに示していきたいと思い、引き受けました」と、ママさん師長。看護部では、引き続き女性管理職を増やす方針とのこと。
精神科一般病棟
慢性期の患者様が中心の精神科一般病棟に伺い、新人看護師さんへの指導風景を見学させていただきました。「新卒者にはもちろん、中途入職者にも1年間プリセプターが付き、こんなふうにマンツーマンのOJTを実施しています。チェックリストを活用し、看護技術の習得だけでなく、患者様との関わり方なども丁寧に指導しているんですよ」と、看護主任さん。中途入職者へのOJT体制も手厚いですね。
精神科急性期治療病棟
お次は、認知症の患者様を積極的に受け入れる急性期治療病棟の病室へ。「こちらの病棟は高齢患者様が中心のため、生活支援や環境整備を担うケアワーカーも手厚く配置しています」と、看護主任。「ケアワーカーは無資格・未経験OKで、働きながら看護師や介護福祉士の資格を目指すことも可能です。私たちは介護福祉士の資格を持っていて、介護の専門職としてチーム医療に参画しています」と、ケアワーカーのお2人。
地域支援室
お次は、地域支援室を案内していただきました。「こちらには看護師や精神保健福祉士が在籍し、地域移行支援や精神保健相談業務などを担っています。近年では、地域の介護施設から精神科訪問診療の需要が増えているため、地域支援室の看護師が同行しているんですよ」と、看護主任。地域に密着した精神科病院として、近隣の関連施設との連携も大切にしているそうです。
訪問看護ステーション
院内には、退院後の生活を支える「訪問看護ステーション」が併設されています。「こちらには、精神科看護専門看護師1名と精神科認定看護師が1名が在籍しています(2023年6月)。病棟を経験後、在宅医療に興味を持ってこちらへ異動を希望する場合も、精神科看護のスペシャリストから指導が受けられるので安心ですよ」と、看護主任。近隣には、グループホーム、精神科クリニック、老健などの関連施設もあるそうです。
多目的ホール
多目的ホールに伺うと、アームレスリング部に所属する看護師長(写真中央)さんにお会いできました。本格的な設備があるんですね。「ええ、職員間の交流を深める部活動が盛んで、部員が5名以上集まれば病院が活動費用を援助してくれるため、陶芸・ランニング・フットサルなど、さまざまな部が結成されています。アームレスリング部では地域交流として、地元の盆踊りのイベントで腕相撲大会を開催したこともあるんですよ」と、看護師長。
廊下
最後は、看護部の皆さんが集まってくれました。働きやすさはどうですか?「休みの希望はほぼ100%通りますし、残業は月2~3時間で、ワークライフバランスを大切にできています。子育て支援として、保育料補助制度や保育室があるほか、日勤常勤・時短勤務・パート勤務も選べるため、ママさん・パパさんもたくさん活躍しています」と、皆さん。独身者用のリーズナブルな職員寮も用意しているそうです。今日はありがとうございました。
帰り道
- ――おつかれさまでした。新卒者や精神科未経験者も歓迎する精神科病院、いかがでしたか?
- ここ数年、新卒採用実績が豊富で、精神科の基礎から学べる研修体制がしっかり構築されています。看護部長をはじめ、ケアワーカーとして働きながら看護師の資格を取得した方も多く、子育て世代の管理職昇格にも前向きで、実力や頑張りをしっかり評価してくれる組織という印象を受けました。
- ――キャリアアップも可能でしょうか?
- はい。看護部では、クリニカルラダーやeラーニングを活用して継続教育もしっかり行っていますし、外部研修にも積極的な参加を促し、BLSやCVPPPのトレーナーの育成にも力を注いでいます。精神科看護専門看護師や精神科認定看護師を目指す際の資格取得支援制度も整っているため、やる気があればいくらでも上を目指せる職場です。
- ――では、ここはちょっと、というところは?
- グループ合同の保育室が和光市にあり、職場から少し離れていることでしょうか。ただ、保育料補助制度が整っていますし、残業がほとんどなく、保育園のお迎えに遅れる心配がありません。
- ――最後に、ここだけの話をひとつお願いします。
- 新型コロナの流行中は、職員による部活動を控えていたそうですが、2023年度から再開しました。さまざまな専門職が参加していて、普段は関わることが少ない職種とも仲良くなりやすく、新人さんの入部も大歓迎とのことです。
未経験から精神科看護のプロを目指したい方
子育て中も無理なくキャリアを磨き続けたい方