入職時教育が手厚い職場は、人材をとても大切にしていそうですよね。埼玉県越谷市で精神科救急急性期医療を展開する「北辰病院」は、相手を思いやり助け合う精神を養っていくため、特徴的な新人研修プログラムを用意しているそうです。新人さんの職場満足度向上のために、福利厚生や子育てサポートなども充実させているらしいので、さっそく見学に行って確かめてきます!
- 形 態
- 精神科病院
- 所在地
- 埼玉県越谷市/新越谷駅
- 病床数
- 238床(心療内科60床、精神科178床)
玄関
「北辰病院」へのアクセスは、「新越谷駅」か「東川口駅」からの無料送迎バスが便利。どちらの駅からも、10分程で病院に到着します。玄関で迎えてくれたのは、特別差額フロアを管轄している看護師長さん。「ようこそ!全238床の当院は、病棟ごとに特色が異なるため、それぞれの病棟を巡りながら、職場の魅力を詳しくお伝えしますね」。
スーパー救急病棟 ナースステーション
スーパー救急病棟のナースステーションへ伺うと、新人さんが先輩の指導を受けていました。「新人さんには、約1週間の入職時オリエンテーションを開催後、本人の希望・適性に合わせた部署配属を行っています。現場教育にはプリセプター制度を、集合教育には1年間の研修プログラムを導入し、新卒者にも中途入職者にも手厚い教育サポートを行っているんです。当院の研修プログラムはとてもユニークで、新人さんに大好評なんですよ」。
新人研修の様子
「新人研修の一つ、自転車体験研修の写真です」と、看護師長。自転車に乗るんですか?「 はい。クロスバイクで全長約140kmのサイクリングコース『つくば霞ヶ浦りんりんロード』などの完走を目指します。また、当院の田んぼで田植え・稲刈り・脱穀を行う『農業体験研修』も特徴的で、全職種の新人が参加しているんですよ」とのこと。仲間と協力しながら成し遂げることで、「思いやりの心」を育むことができるそうです。
スーパー救急病棟
つづいて、お子さんを持つママさんナースを紹介していただきました。職場の子育てサポートは利用していますか?「はい。育休明けは2年間保育室を利用させていただき、現在は時短勤務で働いています。妊娠中はつわりがひどくて大変でしたが、院内には畳の休憩室があり、布団を敷いて横になれるので助かりました」と、ママさんナース。
特別差額病棟 病室
次は、特別差額病棟の病室へ。静かで落ち着いた空間ですね。「そうでしょう?当院では、開院当初から精神科患者様が安心して療養できる環境づくりを重視しているんです。病棟の個室率を上げ、快適な生活空間を整えた結果、心の機能回復も早まり、多くの患者様が50~60日ほどで退院されています」。北辰病院の平均入院期間は、全国の精神科病院の中でも極めて短く、注目を集めているんだとか。
作業療法室
「患者様に『何かをする楽しみや喜び』を思い出していただけるよう、少人数のプログラムを中心とした作業療法にも力を入れているんです」と、作業療法室へ。患者様同士のコミュニケーションの場としても賑わっているようです。「ここでは、革細工やカフェタイムなど、作業療法のプログラムに応じたさまざまな環境を整えています。患者様の笑顔がよく見られるスポットなんですよ」と、看護師長。
心療内科病棟 楽山
つづいて、心療内科病棟「楽山」へ。フロア長がいらっしゃいました。「院内は、精神科救急急性期に特化した『北辰』と、心療内科に特化した『楽山』に分けられていますが、看護部は同じなので、研修や委員会活動は合同で行っています。このデイルームは、患者様がいつでも気軽に来れるよう、スタッフが常駐するようにしています。『思いやりフロア』と呼んで、居心地のいい空間づくりにも注力しているんですよ」と、笑顔のフロア長。
心療内科病棟 楽山 病室
心療内科病棟「楽山」の病室を覗くと、落ち着きのある上質な空間が広がっています。「楽山は、日本にはじめて誕生した心療内科・メンタルヘルスの専門病院です。ストレス疾患だけでなく、その予防にもご利用いただけるような、休息・休養に特化した環境と支援体制を整えています。チーム医療により、患者様とスタッフが、まるで顔見知り同士のような親しい関係を築けるようなコミュニケーションの形を目指しています」と、看護師長。
心療内科病棟 楽山
「ぜひご紹介させてください」と、看護師長が連れてきたのは、80歳超えの名物ナースさん。「心療内科では同じ言葉でも伝える人によって患者さんへの届き方が違い、彼女が伝える言葉は患者さんを癒し励ます力があります。私たちの憧れであり目標です」と、看護師長。ニコニコとした笑顔が印象的で、包容力を感じます。「当院は、若手もベテランも、みんなが自分の強みを活かして看護に取り組み活躍できる環境です」。
図書室
お次は心療内科病棟の図書室へ。シックな空間に本棚と柔らかなソファーなどがあります。「本棚には雑誌・写真集・絵本・マンガ・詩集と多種類を備え、本好きなスタッフがおすすめの本をPOPで紹介しています。ストレス疾患の治療には良い環境が必要なので、患者様にリラックスして過ごしていただける空間にしています」とのこと。他にもトレーニングルーム、瞑想・シアタールーム、専門スタッフがいるエステルームなどがあるそうです。
保育室
最後は、保育室「有教館」へ。「すべて自然木で造られている保育室です。1年を通じて自然と触れ合うアクティビティなども用意しています。職場から近いので、お子さんを安心して預けていただくことができるので、子育てと仕事の両立ができると好評です」。バックアップ体制が手厚くて、安心ですね。本日はありがとうございました。
帰り道
――お疲れさまでした。入職時教育に力を注ぐ精神科病院、いかがでしたか?
- 教育内容だけでなく、医療サービスにも独自性が満載で、とても見応えのある病院見学でした。入職時教育は、自転車体験研修、農業体験研修、地域清掃など、業務以外の内容を充実させていて、「思いやりの心を磨くこと」を最初の一歩としているんだとか。精神科に関する知識・技術は、働きながら身に付けて行けるように、プリセプター制度によるOJTで対応していました。
――入職時教育の評判はどうでしたか?
- とても好評でした!入職したばかりの新人さんの声を聞きましたが、長距離サイクリングなどの貴重な体験を通して、同期との絆が深まったそうです。特に自転車体験研修は一大イベントだそうで、先輩方が新人さんのために約20台のクロスバイクを霞ヶ浦へ運び、管理職の皆さんも新人さんを応援するために参加しているそうです。
――では、ここはちょっと、というところは?
- 今後は継続教育をより充実させて、精神科認定看護師などのスペシャリストを育成していきたいそうです。安全で開放的な病院づくりのための、行動制限最小化に向けた外部研修の参加者や、CVPPP(包括的暴力防止プログラム)のトレーナー研修の参加者は多いそうで、更に上のキャリアを目指せる環境を整えていきたいとことでした。
――最後に、ここだけの話をひとつお願いします。
- 最近では教育の一環として、eラーニングの導入に加え、「エキスパート手当」というキャリアアップシステムが追加されたのだとか。キャリアごとにクリアすべき課題を越えると、職位としてのランクが上がり、自然と昇給する制度だそうです。ますます学ぶのが楽しくなりそうな環境だと感じました。
入職時教育が充実している精神科病院で働きたい方
精神科救急に興味があり、深めていきたい方